先週のサントリーホールでのコンサートにいらして頂いた皆様、ありがとうございました。
指揮者の広上淳一氏とは本当に久しぶりの共演でしたが、音楽でのコミュニケーションに言葉は必要ないと改めて感じた2日間でした。前日のリハーサルで合わせた一回目、軽く合わせながら、私のテンポ感やフレーズの歌い方などをじっくり聴いてくださって、2回目に曲の冒頭からもう一度弾いたときにはすっかり私のテンポの流れを読み込み、音楽的にも寄り添う形でサポート。その間、言葉で何か質問されたり、話し合ったりということは全くなく、あくまでも音楽のみで絶妙にコミュニケートを取ってくださいました。
演奏したバーバー(Barber, Samuel 1910-1981)は、今年がちょうど生誕100年。ヴァイオリン協奏曲を書き始めたのは、1939年の夏、スイスのシルスという小さな村。当日のプログラム解説によると、最初の2楽章をここで書き上げ、第3楽章はヨーロッパの戦争勃発寸前の混乱から逃げ出し、アメリカのペンシルヴァニアに戻って書き上げました。バーバーの音楽は、この時世界に広がっていた政治的な緊張の翳りもなく、のびのびとしてロマンティックな音楽的世界を繰り広げます。アメリカ人の持つ特有の「のびのびとした」音色、透明な広がりをもった音楽的色彩。バーバーを弾くときには、特にこの辺の表現が大切で、時に現れる切れ味のよいリズムと相まって、独特の美しさが生まれます。
一昨日、仕事で松本に行き、帰りに松本城の桜を見てきました。天気も良く、満開を迎えた桜がとても美しく映えていました。写真機をうっかり忘れてしまっていたので、携帯で映したものを添付します。