2010年10月アーカイブ

10月23日 釣りと音コン

 秋田で3週間、みっちり集中講義のスケジュールをこなし、久しぶりに東京へ帰ってきました。

 

 家に帰る途中、新宿のユニクロで「ヒートテック」をまとめ買い。今は「ヒートテック」で靴下から手袋、ネックウォーマーまで何でも揃うのですが、やはり温かい上に薄くて肌触りの良いこの製品は、(私にとっては)快適に過ごす冬には無くてはならないものです。
 

 翌日(22日)は朝4時半に起きて準備、6時過ぎに車でピックアップしてもらい、前日買ったヒートテックで全身武装をして初めての釣りに出かけました。荒川の河川敷から釣り船に乗り、東京湾の外洋の千葉から横浜の沖辺りだったのだと思いますが、イシモチ釣りに連れて行ってもらいました。途中羽田空港の新しい滑走路の横も通りました。

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 天気はずっと曇り気味だったために日焼けの心配もなく、海の風に吹かれて気持ち良く初めての釣り体験を楽しみました。最初に釣り上げたのは何と小さなサメ!70センチくらいの小ぶりですが見るからにサメらしい口をしているので、かなりビビってしまい早々に海に返しました。その後は色々と教えていただきながら、重りを海底につけてから少し巻き上げる感覚や、魚がかかった時に巻き上げるコツとなどが少しわかった感じです。鯵やイシモチをトータルで10匹くらい釣り上げました。
 

 今日(23日)は日本音楽コンクールの本選会の審査。1位は中学3年生(15歳)の山根さんが受賞。体格的にも恵まれ、運動神経も抜群のようで、ショスタコーヴィッチの協奏曲第1番の第4楽章などは十分な音で、メリハリもあり、リズムの切れもよく、オーケストラをバックに堂々と弾き切りました。ただ速い楽章の見事さに比較すると、ゆったりした第1楽章や第3楽章の表現はまだ未熟で、そのような現象は第3次予選のベートーヴェンのソナタでも強く感じられました。第2楽章のオペラティックな歌心あふれるフレーズでは驚くほど表現力が小さくなってしまうのです。
 

 演奏家として速く弾いて喝采される時期は本当に若いうちだけです。成熟と共にゆっくりとした楽章やシンプルなフレーズで如何に自分の表現をすることが出来るか、むしろ音楽家としての個性はここに掛かってくると言っても過言では無いわけで、この1位受賞に安心せず、その部分の研究に直ぐにでも努力を当てていただきたい。何年か後にその成果を期待しています。
 

 2位になった城戸さんも3位の毛利さんも、まだ16歳。2次予選も3次予選も2人共とてもよく整えて演奏していたのが特に印象に残っていましたが、協奏曲ではもう少しオーケストラとの音響効果に注意を向けて演奏すれば、もっと観客に伝えられる表現が増えるのではないか。
 

 60人以上の音楽家を従えて協奏曲をまとめるには、リサイタルとはまた一味違うエネルギーと、メリハリを効かせるコツが必要です。私もオーケストラと共演するときは、自分の耳に聴こえている響きだけではなくて、客席にはどのように届いているかを気にするようにしています。自分の周囲では心地よく鳴っている音でも、10m以上離れた客席では何もニュアンスが伝わらないことも多いし、ステージでは気が付かないオーケストラの音との微妙な時差もあるのです。リハーサルの時に録音器を客席に置いて、後でそれを聴いてチェックしたりしますが、本当はもう一人の自分が客席に座って聴いていて、どうしたらよいかを自分に指示出来たらよいのになあ、と思うことも多々あります。
 

 ところで予選の時からイブニングドレス着用の出演者が多くいましたが、今回の本選も含め、もう少し歩く練習をしておいた方が良いのではと感じました。ステージのパフォーマンスは、一歩足をステージに踏み出したところから始まります。ステージに出て来るとき、右手でスカートを摘み上げながらゆっくりと歩く出場者が多かったのが、今回のコンクールを通して気になりました。この場合のドレスは、言うなれば仕事着です。自分の表現する音楽のイメージや、ステージでの自分の存在をプラスにサポートするための道具であり、その道具に振り回されてしまっては本末転倒です。ドレスの裾は地面に段差などがない限り、なるべく摘み上げないこと。これはイブニングドレスでは美しい姿ではありません。(先日、日本のあるファッション雑誌を見ていたら、読者モデルが長いドレスのスカートを片手で持ち上げた姿で得意そうにポーズを取っていて、仰天!) イブニングドレスのスカートは手で持ち上げたりせず、つま先でドレスの裾を蹴り上げながら、颯爽と大股に歩くのが良。もしそれで躓いてしまうのなら、きちんと歩ける程度にまで裾を短くしてもらうことです。
 

 4位になった新井さんは本選で唯一の大学生でしたが、バランスのとれた流れのある音楽的にも気を配った良い演奏で、きっと室内楽やオーケストラのリードなどでも活躍される音楽家になるのではないかとの期待を感じました。
 

 本選には残らなかった中にも優秀な人がいたと思います。岸本萌乃加さんは2次予選がとても素晴らしかったので印象に残っていますが、3次では演奏順で少し疲れがでたところがあったのかもしれません。
 

 明日からまた秋田へ行き、残り16回の集中講義を行います。


 

10月15日 もう一つのダリア園

 国際教養大学は秋田空港から車で10分もかからないところに位置していますが、大学からそれこそ10分もかからないところに、「秋田国際ダリア園」があります。先日見た湯沢市の「世界ダリア園」の素晴らしい満開のダリアに刺激され、こちらの方も見てきました。やはり色とりどり、満開に咲き乱れるダリアの存在感は圧倒的ですね。残念ながら、私が湯沢で一目ぼれした薄紫色の「メロディ・ハーモニー」はここにはありませんでしたが、幾つかよいショットが撮れたので掲載いたします。

 「冬景色」

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「美月」
IMG_0103.JPGのサムネール画像

 

シンデレラ」(私にはこの命名には少々抵抗がありますが・・・・)
 

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そして、ダリアの丘の全体の景色です。

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10月12日 栗駒山の紅葉

 このところトレッキングにはご無沙汰していたので、今回の栗駒山は楽しみにしていました。8日金曜日の授業を終えても東京には戻らず、連休のなか日の10日にはAIU(国際教養大学)の学園祭を見物し、翌11日の「体育の日」には早朝から栗駒山を目指しました。その日は天気予報でも、3連休で唯一の紅葉狩りに最適な「晴れ日」だったはずなのに、栗駒の周辺は深い霧が立ち込め、5,6m先もよく見えないような天候。とても紅葉を愛でるどころではありません。それに登山口のある栗駒山荘周辺では、駐車場を探す車列があちこちに出来ていて、大変な混みよう。登っても何も見えないだろうし、あっさりとトレッキングは諦め、近くの小安峡やダリア園などを軽く回った後、温泉宿でゆっくりと疲れを取ることにしました。
 

 湯沢市の「世界ダリア園」では世界各国の様々な色や形のダリアが満開に咲き、なかなか見ごたえのある光景でした。ダリア園は例年8月から10月まで開園しているのですが、今年の夏は異常な暑さが続いたために8月に入ってもダリアが咲き始めず、それを知らずに来てしまったお客様には再入園のスタンプを発行するなど、ここでも異常な夏の影響があったよう。今は大きさも形も色とりどりで咲き誇り、一輪の花として見ても形の美しさや色の鮮やかさは見事です。中でも私が感銘を受けたうす紫のグラデーションが美しいダリアは、偶然にも「メロディ・ハーモニー」という命名をされたオランダ種でした。写真を載せておきます。

IMG_0026.JPGのサムネール画像
  

 翌日12日は朝から曇っていましたが、もしかしたら山の上は昨日よりも良い天気かもしれないと思い、一緒に行ったお仲間とも相談の上、もう一度栗駒の紅葉に賭けてみることにしました。向かう途中の秋の宮から泥湯の間の山々を抜ける車道では、所々に美しい紅葉が見られ、遠くの山々も群青色のグラデーションの幻想的な影を幾重にも見せていて、広大な景色を堪能しました。途中車を降りて木々の紅葉を映したものを、添付します。

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 肝心の栗駒山は、今度は霧も無く、頂上を目指す中間地点の「昭和池」まで登って引き返しました。登山道は連日の雨続きでかなりぬかるんでいました。私は登山靴を履いていたのでそれほどの困難もありませんでしたが、普通の防水機能のないスニーカーや、中にはサンダルで歩いている人までいて驚きました。それほど難しい山でなくても、しっかりした登山靴を履いていくと泥濘や小さな沢も気にせず安心して歩けるので疲れません。連休は明けても、相変わらず大勢の登山客が犇めいている状態でしたが、イモ洗いのようになりながらも栗駒山荘の眺めの良い露天風呂に入り、気持ちの良い風と乳白色の温かいお湯で疲れを流して、すっかり満足して帰ってきました。(明日はまた講義です!)

 

 ところで、2年前の岩手・宮城内陸地震直後の10月に栗駒に初めて登った時には、登山口に至る車道にも所々滑落が見られたり、大きなひびが道路を横断していたりと、地震の揺れの大きさや恐ろしさを目の当たりにしましたが、今回は道路の整備もほとんど完了し、岩手や宮城方面からも登山ができるようになっていました。
 

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