第71回全日本学生音コン予選審査 vol.1

 昨日から二日間、オペラシティのリサイタルホールで全日本学生音楽コンクール東京大会の高校の部の審査員を務めました。80名がバッハのパルティータ第2番のサラバンドを含む2つの楽章(シャコンヌは含まず)を演奏、うち11名が10月の本選へと進むことになりました。

 バッハは素晴らしい「無伴奏ヴァイオリンのための6曲のソナタとパルティータ」を残していて、ヴァイオリニストにとっては生涯通しての課題であり目的であり、同時に心の友でもある訳ですが、学生に取っては苦手な作品の筆頭になるのかもしれません。参加者には審査員がそれぞれワンポイントアドヴァイスを書きましたので、私の気持ちも参加者に伝わっていることと思います。

 パルティータはそれぞれの楽章が特徴をもったバロック・ダンスですから、やはり舞曲としての特徴を理解し、そのパルスを、楽章を通して一貫して感じさせなければなりません。それと、和声的進行を理解し、それを音質に映し出すこと。ストレスを感じさせる和声と、そこから解放してほっとさせてくれる和声、その関係性を演奏で明確に示していくこと。このことさえ分かっていれば、音楽的な流れが自然に立ち現れてくるのです。何人かの演奏は、非常に音楽的で嬉しい気持ちになりました。

 本選は打って変わってパガニーニの協奏曲、でも音楽的な本質は変わりません。後はそこに観客を「魅せる」というヴァイオリニスティックな要素が加わってくるだけです。バッハの後、どんなパガニーニで魅せてくれるか、楽しみにしましょう。


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このブログ記事について

このページは、Reiko Watanabeが2017年9月 7日 14:34に書いたブログ記事です。

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