昨日までの2日間、サントリーのブルーローズで行われた第71回全日本学生音楽コンクールのヴァイオリン部門本選の審査員を務めました。両日ともあいにくの雨模様、それでも特に小学校の部には多くの観客が来場。小学校と中学校の1位は、予選から安定した演奏で本選でも点数も高く優勝。今後の成長が楽しみであると同時に、このまま順調に伸びていって欲しいと強く願わずにいられません。他にも個性ある演奏やこれからグッと伸びそうな才能もあり、楽しみです。中学と高校は、それぞれヴィオッティとパガニーニの協奏曲という課題曲。これは、フレーズを歌手のように歌うことと音色に変化をつけること、その結果音でイタリアオペラ的なドラマを演出することを求められるプログラムでしたから、その辺りをしっかりと考えて演奏しているかどうかがはっきり分かってしまいます。上手に表現出来ている人もいましたが、やはり音楽の根本である歌やオペラをもっと日常的に聴いて欲しいと思いました。
コンクールの審査後、隣の大ホールに移り、93歳の室内楽の巨匠ピアニスト、メナヘム・プレスラーのリサイタルを聴きました。最初の一音が鳴り響いた瞬間から、自分の呼吸も聞こえそうな程研ぎ澄まされた集中力で聞き入る聴衆。ステージを歩くのにも杖と人のアシストが必要な93歳の弱々しい体の中に、信じられないような豊かな世界が存在することに驚嘆、アンコールのショパンのノクターンとドビュッシーの「月の光」では涙腺が緩む人も多かったようです。(私もその1人でした!)